哲学と精読

共通テストは辛い

同志社志望の高3生(16)

英語長文の指導

引き続きシステム英語長文Basicの5を読んでいます。

冒頭、軽く英文を読み直してもらい、これまでの論証構造を振り返ってもらいました。学校と実社会の対比があり、学校の方がマイナスイメージをもって語られていました。

続いて検討の対象となったのは、実社会の様子を記述したうえで、筆者の立場を補強するようなことが論じられている以下の箇所です。

Carlos Vignolo, an excellent professor at the University of Chile, told me that he challengingly suggests that students take classes from the worst teachers in their school because this will prepare them for life, where they won't have talented educators leading the way.

妙に長い一文ですが、大まかな文構造は問題なく把握できていました。That節の処理などはもう問題にすらなりません。関係副詞のWhere とその先行詞が life であることも処理できています。

むしろ問題となったのは以下の箇所です。

this will prepare them for life

prepareが「準備する」という意であることは知っていましたが、それだけでは実際の英文に対応することはできません。

動詞はその意味とともに、その使い方(語法・用法)にも気を配らねばなりません。つまり、動詞の後ろにどのような語句が、どのようにして並べられるかということをある程度知っておかなければなりません。自動詞や他動詞といった概念区分は、こうした後続要素の有る無しに関わるものだから、重要なのです。

さて、prepareは自動詞の用法も他動詞の用法もあります。今回の英文では、他動詞として用いられているので、そちらを検討します。

prepareは他動詞の用法に2系統あります。いずれも第4文型の形を取ります。

S V O1 for O2 という形態です。さて意味はというと、

1.Sは、O2のためにO1を用意する

2.Sは、O1にO2の覚悟をさせる(準備させる)

まず共通して言えることは、for O2に関して、O2はいずれも、これから生じるもので、それに向けて(心の)準備が必要なものである点です。

では、その(心の)準備をする主体は誰なのかというと、これが1と2の決定的な差異なのですが、1では準備するのはSです。

They prepared agenda for the meeting.(彼らは会議に向けて議題を準備した)

これに対して、2では準備するのは(直接的には)O1です。

prepare him for an examination(彼に試験に向けて準備させる)

prepare a patient for surgery(患者に手術に向けて心の準備をさせる)

さて、本文に戻りましょう。

students take classes from the worst teachers in their school

because this will prepare them for life

ここでのO1(them)は学生たちです。彼らが人生に向けての準備をする主体です。そして、その準備をさせるのがS(this)というわけです。これは下線部の内容を承けていますから、無生物です。

それゆえ、無生物主語構文のような訳出も可能です。つまり、

「このことは、学生たちに人生に向けての準備をさせる」

「これにより、学生たちは人生に向けての準備をする」

動詞の後続要素を考察するときに、そこにS-Vの関係が潜んでいないかを探すことで、このような気づきを得ることができます。