引き続き源氏物語を読む…
桐壺巻を読んでいます。帝から寵愛されている更衣の局が、桐壺であることがやっと紹介される箇所を読みました。
桐壺は、清涼殿から最も離れたと言ってもよい後宮であり、それゆえに《前渡り》が頻発します。前渡りによって、帝の訪問を期待する他の女性たちの気持ちを尽く踏みにじる帝の寵愛は、更衣への憎悪を増幅していきます。
いじめ行為も遂には陰口を超えて、《あやしきわざ》に至るわけです。
文法の確認
弘徽殿女御が、源氏誕生に際して、その立太子を危惧する場面です。
「坊にも、ようせずは、この皇子のゐたまふべきなめりと…」
「ゐ」の文法的性質と意味から始めて、「居る」と言っても《どこにいるのか》、《誰がいるのか》を確定していきました。
格助詞に注目して、《この皇子が坊(東宮)に居る》ということが理解できます。
さて、この「ゐ」に下接する補助動詞・助動詞ですが、「たまふ」は尊敬の補助動詞として、論点となるのは「べきなめり」です。
①たまふ(終止形)+べき
②べき(連体形)+なり?なる?(?)
躓いたのは、②の論点でしたが、撥音便の無表記であることは把握できていたので、もう一息でした。
ポイントは終止形接続の「めり」です。終止形接続の助動詞は、ラ変型動詞には連体形を要求します。ウ段音を要求すると考えればよいです。
すなわち、
②べき(連体形)+なる(連体形)+めり(終止形)
というのが正解です。